Difyは、プログラミングの知識がなくても、簡単にアプリを作れるAIです。
しかし、どのようなアプリが作れるのか分からず、使うのをためらっている人は多いです。また、本当に簡単にアプリが作れるのか疑っている人もいます。
本記事では、画像付きでDifyの導入方法や使い方を解説します。実際にアプリを作る手順も紹介するので、同じようにオリジナルアプリを作ってみてください。
Difyとは
Dify(ディファイ)とは、プログラミングの知識がなくても、チャットボットやテキスト生成などのアプリを開発できるサービスです。アメリカのLangGenius, Inc.により、2023年5月にリリースされました。
アプリやソフトウェアの開発者でなくても簡単に操作できるように、直感的なインターフェースを搭載しています。
「マニュアルを読まないでも利用できた」という声も多いです。
また、オープンソースで公開されていて、誰でも手軽に利用できるため、世界的に注目を集めています。
Difyでなにができる?活用事例4つ
Difyを活用すると、チャットボットや要約アプリなどを作成できます。ここでは、Difyの活用事例を4つ紹介します。
1.チャットボットの作成
Difyを活用すると、チャットボットを簡単に作成できます。
チャットボットとは、「チャット」と「ロボット」を組み合わせた造語で、人工知能により問い合わせやメールなどに自動で回答してくれるプログラムです。
近年、労働人口の減少により労働力の確保が難しくなっているため、多くの企業がチャットボットを導入しています。
また、24時間体制で顧客からの問い合わせに回答できるため、顧客満足度の向上にも繋がります。
簡単なチャットボットであれば、Difyを活用すると1時間もかからず作成が可能です。
2.Webページ要約アプリ
Webページ要約アプリは、ブラウザに表示されたサイトを要約して、短時間で内容を把握できるアプリです。
Web上の資料や論文を読む際に利用すれば、業務効率化に繋がるでしょう。
単に要約するだけでなく、利用するAIモデルを以下の中から選択できます。
- ChatGPT
- Gemini1.5 Pro
- CommandR+
- Claude 3 Sonnet など
AIモデルにより、要約の内容に個性が出ます。複数のAIモデルを比べてみれば、あなた好みの要約に巡り合えるでしょう。
3.音声入力アプリ
Difyは、テキストベースだけでなく、音声での入力にも対応しています。
AIが文章の修正や校正する機能を付ければ、音声入力されたテキストから議事録を作成するアプリの作成が可能です。
たとえば、会議開始時に音声入力を開始して、会議終了時に録音を停止すれば、議事録が完成しています。
また、音声入力だけでなく、テキストを読み上げることも可能です。
テキスト読み上げ機能は、通勤や通学など映像を見られない場面での学習に役立ちます。資格試験の学習をする際に、参考サイトの内容をアプリで読み上げれば、隙間時間を十分に活用できるでしょう。
4.記事の作成
Difyは高品質な言語モデルを使用して、テキスト生成ができるため、企業のホームページに掲載する記事を作成できます。
いくつかのキーワードを指定するだけで、すぐに掲載可能な記事が完成するでしょう。
また、作成した記事を上位表示するための「SEO(検索エンジン最適化)」のテクニックを用いて、文章を作ることも可能です。
自社のホームページにコラムや記事などを掲載しても、訪問者が伸び悩んでいる人はぜひ活用してください。
【初心者でも簡単】Difyの使い方
Difyの使い方は、Webブラウザで使用する方法と、ローカル環境にインストールする方法の2つがあります。
ここでは、それぞれの使い方を画像付きで解説します。
ブラウザでの使い方
Difyにログインするには、GitHubかGoogleのアカウントが必要です。アカウントを持っていない人は、事前に作成してください。
GitHubかGoogleのアカウントでログインすると、「LangGeniusにログイン」と表示されるので「次へ」をクリックしてください。
ログインが完了すると、ブラウザ上にDifyのホーム画面が表示されます。
アプリの作成を始めるには「最初から作成」もしくは「テンプレートから作成」のどちらかを選択してください。
「最初から作成」を選択すると、アプリのタイプを設定する画面が表示されます。
アプリのタイプは、以下の4種類です。
- チャットボット
- テキストジェネレーター
- エージェント
- ワークフロー(BETA)
作成したいアプリのタイプを選んだら、アプリの名前と説明を入力してください。
この後は、アプリのタイプに沿って入力をすれば、アプリが完成します。
具体的な作り方は、この後の章でチャットボットを例にして解説します。
ローカルでの使い方
ローカル環境にDifyをインストールするには、公式サイトに掲載されている「Start with Local Source Code」を参考にしてください。
Difyをローカル環境にインストールするには、アプリケーションを開発するためのプラットフォームをインストールする必要があります。以下のサイトよりダウンロードしてください。
先ほどインストールしたDockerを起動してください。
Dockerを起動していないと、Difyを使うことはできません。
フォルダ「Dify」の中にあるフォルダ「Docker」に移動するために、以下のコマンドを入力してください。
この作業が完了するには、少し時間がかかります。
cd dify/docker
docker compose up -d
以下の画面が表示されたら、実行完了です。
ローカル環境でDifyを利用するためのリンクにアクセスします。メールアドレスを入力してログインすると、ローカル環境でDifyが立ち上がります。
ローカル環境でDifyが立ち上がったら、ブラウザ版と同じようにアプリを作成します。
Difyを活用したチャットボットの作り方
Difyを活用できる環境になったら、まずは簡単なチャットボットを作成してみましょう。
Difyにはさまざまなテンプレートが用意されています。
今回は「Email Assistant Workflow」を使ってみます。
アプリの設定画面に、テンプレートが展開されます。
テンプレートに手を加えたい場合は、このページで設定を変更します。
Difyの右上に表示されている「実行」をクリックすると、アプリの動作テストができます。
Emailの欄に簡単な内容を入力して、「実行を開始」をクリックします。
正しいメールの文章が表示されます。
このアプリを使用すれば、メールの返信に時間を取られることはなくなるでしょう。
Difyの右上に表示されている「公開する」をクリックするとアプリが完成します。
Difyの利用料金について
Difyは、基本無料で十分に利用できます。しかし、利用頻度が高く、多くのアプリを開発したいのであれば、有料プランもおすすめです。
それぞれのプランの主な違いは以下の通りです。
プラン名 | SANDBOX | PROFESSIONAL | TEAM | ENTERPRISE |
---|---|---|---|---|
料金 | 無料 | 59ドル/月 | 159ドル/月 | 問い合わせ |
メッセージクレジット | 200 | 5,000/月 | 10,000/月 | 無制限 |
利用できるモデル | OpenAI/Anthropic/Llama2/Azure OpenAI/Hugging Face/Replicate | OpenAI/Anthropic/Llama2/Azure OpenAI/Hugging Face/Replicate | OpenAI/Anthropic/Llama2/Azure OpenAI/Hugging Face/Replicate | OpenAI/Anthropic/Llama2/Azure OpenAI/Hugging Face/Replicate |
チームメンバー | 1 | 3 | 無制限 | 無制限 |
作成できるアプリ | 10 | 50 | 無制限 | 無制限 |
アップロードできるドキュメント | 50 | 500 | 1,000 | 無制限 |
ドキュメントの一括アップロード | × | 〇 | 〇 | 〇 |
メッセージリクエスト数 | 500/日 | 2,000/日 | 5,000/日 | 無制限 |
ログ履歴 | 15日 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
カスタムツール | 利用不可 | 10 | 無制限 | 無制限 |
Webアプリのロゴ変更 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
Difyに関するよくある質問
ここでは、Difyは無料で利用できるか、商用利用できるかなど、よくある質問に回答します。
Difyは無料?
Difyは、無料プランでも十分に活用可能です。
ただし、無料プランでは、アプリの作成数が10個まで、ログの履歴が15日までしか残らないなど制限があります。
有料プランに加入すると、制限は大幅に緩和されます。Difyで本格的にアプリを作成したい人や、ビジネスでDifyを利用する人は、有料プランへの加入がおすすめです。
Difyで生成したアプリは商用利用可能?
Difyで生成したアプリは、基本的に商用利用可能です。Difyは「Apache License 2.0」に基づいているためです。
Apache License 2.0とは、OSS(オープンソースソフトウェア)の開発や配布する際に用いられるライセンスです。
Apache License 2.0は商用利用を認めているため、Difyで製作したアプリも商用利用できます。
ただし、以下の場合は許可を得る必要があります。
- マルチテナントのSaaSを提供する
- Difyのロゴや著作権情報を変更・削除する
マルチテナントとは、一つのサービスを複数のユーザーで共有することです。具体例としては、Amazon Web Serviceや楽天市場などがマルチテナント型のサービスです。
上記の条件に当てはまる場合は、Difyに連絡をして商用ライセンスを取得しましょう。
また、Difyで製作したアプリを商用利用して、何らかの損害を被ってもDifyは責任を負いません。
アプリを公開する前には、著作権を侵害していないか、重大なエラーはないかをしっかりと確認してください。
Difyはスマホで使える?
DifyのWebブラウザ版は、スマホで利用可能です。
ただし、画面の小さいスマホでは操作性が悪く、アプリ開発に時間がかかってしまいます。効率を求めるのであれば、デスクトップPCや大型のノートPCを使用するのがおすすめです。
Difyの精度は?
Difyは誰でも簡単に操作できるだけでなく、高い精度を誇るRAGも特徴です。
RAG(Retrieval-Augmented Generatio)とは、大規模言語モデル(LLM)で回答を生成する際に、外部情報を組み合わせることにより精度を向上させる技術です。
Difyは高品質なRAGを搭載しているため、精度の高いアプリを製作できます。
Difyは日本語に対応している?
Difyは、日本語に対応しています。また、公式サイトも日本語に対応しているので、スムーズにダウンロードできるでしょう。
Difyが日本語表示されていない場合は、右上の設定欄から言語を変更できます。
まとめ
Difyとは、プログラミングの知識がない人でも、チャットボットやテキスト生成などのアプリを開発できるサービスです。その他にも、Webサイトを要約や音声入力ができるアプリなども作成可能です。
Difyは、「Webブラウザ」か「ローカル環境」で利用できます。AIを初めて利用する人は、インストールの必要がないWebブラウザがおすすめです。
Difyには有料プランと無料プランがあり、無料プランでも十分に活用できます。ただし、利用頻度が高かったり、ビジネスで利用したりする場合は有料プランがおすすめです。
Difyを活用して、作業時間の短縮や、さまざまな仕事を効率化させてください。
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